神子元の「タカベ」を食わずして、弓ヶ浜の夏を語るなかれ

南伊豆の夏の味「タカベ」

夏、南伊豆の神子元島周辺で獲れる地魚「タカベ」

 

南伊豆の弓ヶ浜に海水浴に来られる皆さまへ旬の地魚のグルメ情報です。

弓ヶ浜の沖8kmにある無人島「神子元島」周辺で、初夏(6月上旬)から初秋(9月末)にかけて、「タカベ」というアジに似た小さい地魚が漁獲されます。

特に6月下旬からお盆にかけて水揚げされるタカベは、脂がよくのっていて実においしいです。

 

 

日本でも数少ないタカベ追い込み漁を専門に行う駿河丸

日本でも数少ないタカベ追い込み漁を専門に行う弓ヶ浜の駿河丸

 

タカベは、南伊豆の伝統的な「追い込み漁」で漁獲されます。

弓ヶ浜の沖に灯台がある無人島の神子元島がありますが、その周辺の海に網を張り巡らし、そこに船上から石を落として脅かして、網に追い込む漁法です。

船長以下数名が一致団結して一糸乱れず行動してタカベの大群を網に追い込み、引き上げる壮大で勇壮な漁です。

 

先代の駿河丸船長が波止場を指揮する

先代の駿河丸船長が波止場での水揚げ作業を指揮する

 

船長はその日の潮を読み、タカベの群れがどこに居るのか見当し、探し出し、それを追い込むルートを計算して、前もって網を仕掛けます。

その船長の読みと計算が外れると、タカベ水揚げは空振りとなり、乗組員の生活を守ることができなくなります。船長の腕と勘がまずは第一です。

次は、船長の細かい指示通りに船を動かす操船技術や、すばやく狙ったところに網を落とす技術や、早朝真っ暗の中、強風や高波の中でキビキビと指示通りに動く勇気ある船員たちが必要です。

 

旬のタカベは脂が乗っていて、出刃を入れたときにすぐに分かる。

旬のタカベは脂が乗っていて、出刃を入れたときにすぐに分かる。

 

それでは、弓ヶ浜の夏の風物詩、タカベのうまい食べ方(漁師レシピ)をご紹介いたします。

まず第一は、刺身です。旬のタカベはサイズが小さい割に脂が良く乗っています。さばいているときに出刃にねっとりまとわりつくのですぐに分かります。

次に、ミョウガ、大葉、ねぎのみじん切りと一緒にタタいて、タカベのタタキがうまいです。

ここで、地元の漁師レシピには、青唐辛子を刻んで味噌とタタく「青唐辛子味噌タタキ」があり、南伊豆でしか味わえないタカベ料理になっています。

 

ねぎ、みょうが、大葉とたたいた、タカベのたたき

ねぎ、みょうが、大葉と一緒にタタいた、タカベのタタキと塩焼き

 

旬のタカベを塩焼きすると、脂がジュージューと滴り落ちて、焼き網からボーボーと煙と炎が出てきます。焦がさないように注意して焼いてください。

 

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刺身をお造りした後に出るアラは、焼き網で短時間さっと炙った後に、ダシの中に放り込んでアラ汁を作ります。上品な脂が椀に浮いたタカベのアラ汁は本当にうまいです。

 

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朝獲れのタカベが大量に入ったときは、開いて、30分立て塩に漬けて、天日干しして、タカベ干物を作ります。味と脂が凝縮して見事な一品が仕上がります。

これを炭火七輪であぶって、大吟醸の冷酒で一杯やるとき、南伊豆の漁村に住んでいることを心から感謝しているわけです。

 

大量に手に入った時は天日干ししてタカベ干物を作ります

大量に手に入った時は天日干ししてタカベ干物を作っています。

 

ご飯の上に刺身を乗せて、お茶をかけた瞬間に身がちりっとひきしまったタカベ茶漬けは、酒飲みの最後の〆におすすめです。

 

お茶をかけた瞬間に身がちりっとひきしまるタカベ茶漬け

お茶をかけた瞬間に身がちりっとひきしまるタカベ茶漬け

 

神子元島の朝獲れタカベの刺身、たたき、塩焼き、アラ汁、お茶漬け、干物、、、

これぞ南伊豆、弓ヶ浜でしか味わえない夏の地魚料理です。

 

これぞ南伊豆でしか食べられない「タカベ三昧」定食です。

南伊豆でしか味わえない漁師料理「タカベ三昧」定食です

 

毎年、弓ヶ浜海水浴に来る人は、ぜひとも滞在期間中に、早朝、弓ヶ浜に流れ込む青野川沿いにある湊漁港の波止場周辺を散歩してみてください。

運が良ければ、大漁旗の駿河丸に地元住民が行列している風景に遭遇するかもしれません。そしたら、迷わず行列に並んでお土産品として1kg買って行ってください。

夏になると、地元の湊区民も、タカベ漁船「駿河丸」が朝獲れを大漁して、湊漁港に帰港して、波止場で朝獲れタカベを朝市(量り売り)してくれることを、心待ちにしています。

 

駿河丸の朝獲れタカベの朝市には住民が行列します。

駿河丸の朝獲れタカベの朝市には地元住民が行列します。

 

最後に、地元住民を代表して一言、

「神子元のタカベを食わずして、弓ヶ浜の夏を語るなかれ」

 

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